あなたを殺した朝に
なかがわひろか

あなたを殺し終えた朝
太陽は眩しくて
そして雲は白かった
空は本当の色を取り戻し
空気はただの透明だった

私の目はそれらを映し
私の口は空気を飲み込む
やがて排出されたそれは
またいつか私に戻る

私は知った
私は生きている
私は目で
私は口で
それを知った

私は何度も繰り返す
次第に人間を手に入れる

私は本当は知っている
本当は全てを知っていた
私はやがて
小さな悲しみを育て上げ
温かな涙を零すだろう

私はその雫を
あなたの唇にそっと刷り込む
それを証と
あなたは知る

私は、知る

(「あなたを殺した朝に」)


自由詩 あなたを殺した朝に Copyright なかがわひろか 2007-03-12 00:59:57
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