溜息
松本 卓也

一日についた溜息の数
戯れに数えてみた

一昨日で七回
昨日で十回
今日は八回

忙しさに比例して
楽しさに反比例して
寂しさとは関係なく

溜息の数だけ
幸福が逃げるんだよって
あの日君は言った

逃げるだけの
幸福がないんだから
僕はそう言い返す

でも
溜息と共に吐き出す
白い煙こそ

別に運命を呪っている訳でも
人生を投げ出している訳でもない

不思議な人ね

蘇る声がある

貴方はいくつの顔を持っているの?

最低でも五つかな
おどけて笑う
本当は一つさえ分らない

何時の頃からか
誰の表情からも
裏を探らずには居られなくなった

偽らずに生きる事が
こんなにも難しいなんて

人を信じる事に
こんなにも力が要るなんて

今日一つ嘘をつき
また一つ溜息が増える

あと幾つだけ溜息をつけれるのかな
あとどれくらい僕で居れるのかな

あと何度重ねていけば
幸せに届くのかな


自由詩 溜息 Copyright 松本 卓也 2007-03-11 23:44:28
notebook Home 戻る