三月
松本 涼

夜を急かすように
遠く点滅を続ける塔の先端の赤にも
この街の川は知らん顔で今夜も
静かに月を映している

僕は少し落ち着かず
ひとつの夢を見ることが出来ない

僕はしゃがみ足元の
惑星のような飴玉のような
小石を拾い汚れた川に
ぽちゃりと落とす

小石に当たった月が
身震いするように波紋を広げる

三月から僕がはみ出す


自由詩 三月 Copyright 松本 涼 2007-03-11 23:35:02
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