90、スロウモード 【すろうもーど】
雨宮 之人

しとしとと
けぶるように春雨が充満して
気付いたら季節は僕らの目の前を
風のように通り過ぎて行ってしまう

消えてしまいたいなぁ
雨に濡れながら彼女はそうやって言う
まるで磨り減った靴底だ、僕は
中敷きも削れて、クッションが失われてさ

ジャンプした彼女が
やけにゆっくり網膜に影を映して
届け、届けって願いながら、僕は

うとうととしながら、煙草をふかしてる
最近の一日は真昼から朝焼けまで
ロックンローラーみたい、なんてさ、笑えないけど


自由詩 90、スロウモード 【すろうもーど】 Copyright 雨宮 之人 2007-03-11 22:43:30
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