寄り添う夜
かのこ
首筋から
次々と抜け出していく
幾筋もの熱の糸たち
あなたを前にほどけて泣いてしまう
朝が来たり夜が来たりするたびに
揺れているのだきっと
いつだって泣く準備はできていたのだ
だから今こうして一人分の身体で安らかに眠る
記憶
寄り添う夜はいつもそれが最期のような気がしたり
延々と続く繰り返しのうちのほんの一切れような気もしたりする
その熱い肩や喉元に触れながら
頭の中の細胞は死んでいく
綺麗な顔で笑いながら
身体の中はからっぽになっていく
涙は
熱を孕んだしずく
シーツの中を必死に泳いでいる
無機質な声ばかりが
連続して聞こえる
夜
虚ろな
淋しげ
揺れる
揺れる