駅・函館
たりぽん(大理 奔)

灯台の積層レンズから
ここにいる、と叫ぶ声は
遠くからは星
近くからは秒針
海霧に照らし出す
港という駅

造船所の大きなクレーンを
右手にみながら
故郷はいつも
思い出せない何かに似ている

  手のひらでも
  背中でもなく
  声でも
  まなざしでもない

夜の正体を
街灯りが銀河に隠すとき
北にしか向かわない列車が
旅人に行く先を尋ね

  春から逃げるように
  ここにいると叫ぶ声
  まっくろな真昼の海
  雪よ凍らせて
  散ってしまう
  あの樹を
  咲かせないで


自由詩 駅・函館 Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-03-11 01:15:40
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