海月

最後の月日を重ねる
砂時計の砂は残り少なく
瞬きの間で全てが終わってしまう

緩やかに全ては前に行こうとする
私の背中を君は軽く押し
踏ん張りのない私の足は前に出て
君の少しだけ先に出た
ふり向けば、君はいない

君の声や顔や感触や温度も最後が来る
解っていたけれど何も出来ない

あの日は幼い愛仕方しか知らず
温もり(心)を感じ(通じ)合おうとせず
直ぐに別々の体に戻った
遠くで流行の曲が流れて
歌詞も曲調も解らない
だけど、心地良かった

隣を歩く人はいつかは違う歩幅に変わる
その時に自分も歩幅を変えてはいけない
誰かの言葉が胸を過ぎった

涙を流した所で何も変わらない
涙を流せば忘れずにいられる

少しだけ右手が軽い
隣からは足音が聴こえない

優しい月明かりに包まれ
聖地の円を描く
風はやわかく吹き
桜の葉が揺れた

蕾は花咲く事無く散り落ちた
現実は冷たく優しく私達を迎えた


自由詩Copyright 海月 2007-03-09 23:20:33
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