Galapogos
水町綜助



僕と君はただの点なんじゃないかと
よく晴れた三月の駐車場に僕は立っていて
電話で君相手にそう言ってみて
銀行員の運転する車が入ってきた
銀色の車体に青色を流して
僕の腰から下も映って流れて
3番に停めた
まだまだすこし寒いよ
もう死んでしまったあの人が机から落とした
芯の出たボールペンが太平洋の群島に落ちて
そこに付いた黒いかすれた点か僕たちは
線はそこよりすこし前ほんの少し前を
愛情と並行するように走っていたらしい
要するに僕らが生まれてそれからついこの間までの線
見たこともない昔から続いてたらしいよ
僕たちは点でゾウガメなので関係はないけれど
ただ甲羅の年輪を増やすか積もらせることだけだから
そればかり考えているから
たとえばビーグル号がやってきて何か勝手なことを言いだしても
ヤギを放してサボテンを食い散らしても
僕は肉を食うし
ロンサム・ジョージとか言う亀にもなんない

調子っ外れの捕鯨船だあいつは
とりあえず亀つかまえんなよ
ましてや食うなよ
鯨を
つかまえてろ
じゃなきゃ
沢山の銀色の車を

線を描くから
あれは


そうだ
僕に手紙を書くなら
聞いた話だがここから少し行った所にある島に郵便局があるよ
木でできたポストが一つだけあるらしい
でも郵便局員はいないし
誰も回収にも来ないから
通りすがりの旅人が
中でも物好きなやつが
持って帰って届けることになってるらしい
切手貼って
だから僕のとこに届くのはいつになるかわかんないね
そのころにはもう死んでるかもね
だから出さないでね
電話でいい


自由詩 Galapogos Copyright 水町綜助 2007-03-09 16:55:59
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