飛ばなくなったヘビ
青の詩人



コンドルは空の神様から 灯りを探してこいとの命を受けた
それは世界すべてを照らすほどのとてつもなく強い灯りだという

コンドルは空の神様から翼を授かっていて
そのおかげで空を飛ぶことができた
だからその命に喜んで従った

コンドルは空の神様の元を飛び去った

彼はふだん小さな空しか飛んではいけないことになっていたので
大きな空が飛べることになってうきうきしていた

彼は今まで飛んだことのない高さまでぐんぐん舞い上がり
地上のものがどんどん小さくなっていった
山や谷さえもが羽毛1本ほどにしか見えない高さまできたとき
コンドルは使命を思い出した

私は灯りを探さなければならない
こんなことをしている場合ではない


コンドルがそう考えて昇るのをやめようとしたとき
そこに灯りがあった

彼は大喜びで灯りをくちばしにくわえ
空の神様の神殿まで持ち帰った
灯りを手にした空の神様は太陽となり
コンドルは太陽の使いと呼ばれるようになった



ヘビは空の神様から 闇を探してこいとの命を受けた
それは世界全てを隠すほどのひたすらに暗い闇だという

ヘビは空の神様から翼を授かっていて
そのおかげで空を飛ぶことができた
だからその命に従わないわけにはいかなかった

ヘビは空の神様の元を飛び去った

彼はふだん小さな空しか飛んではいけないことになっていたので
大きな空を飛んでもよいと言われて 当惑した

彼は高みへと飛ぶのはしんどかったので
空の神様からできるだけ遠く離れると 下へ下へと降りていった
雲が見えなくなり風が吹かなくなったところまで降りてきたとき
彼は使命を思い出した

そういや 闇を探すんだっけ
いいよそんなの かったるい


ヘビがそう考えて地上に着地したとき
そこに闇があった

彼は空の神様に届けることはせず
闇を独り占めにしてしまった
空の神様は闇を手に入れることができず怒り狂った
そして罰としてヘビから翼を奪い
彼を地を這うことしかできない姿に変え
二度と空を飛べなくしてしまった


そのあと
太陽の使者コンドルが
闇を飲み込んだヘビを追いかけまわすようになり
朝と夜の追いかけごっこが始まったという



もしもヘビが闇を持ち帰っていたら


自由詩 飛ばなくなったヘビ Copyright 青の詩人 2007-03-09 01:27:11
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