Flying
なかがわひろか
絶望感から私は解き放たれました
私は軽やかに
腐りかけていた薄い羽を大きく広げ
飛び出します
大空高く飛び出します
体の中に沈殿した
重い枷たちが枯れても
私はきっと大丈夫でしょう
けれど少し寂しく感じてしまうのは
まだ私が彼らに依存しているからでしょう
重しがなくなって
不安になるのは
きっと私だけでは
ありませんから
私は本当に飛べますか?
体中の血が沸点に達しても
私は空っぽにならないでしょうか
あの絶望の花火が
体中に飛び散って
私の内臓を焼き尽くすのには
もう耐えられません
だから私は、両手を広げ
だから私は、飛び出したがる内臓と共に
飛ぶのです
ただ私は、飛び出すのです
重力が私を
突き放そうと思っているのか
愛しく抱きとめようと思っているのか
私は、知らない
そう、知りません
ただ軽くなってしまったこの体を
不安と焦燥と
希望の感情が入り混じって
私は留めておくことができなくなり
飛び立つのです
飛び立つのです
(「Flying」)