だぁれだ?
恋月 ぴの

背後から抱きしめられる気配が
して
「だぁれだ?」
そんなのあなたに決まっているのに
他のだれかを想像してみる

雪の降らなかった今年の冬を
ひとりで歩いてみた
行き先なんか
決めたりしないで

たとえ束の間であっても
静かに降り積もる白さ
さえ
あれば
覆い隠せたこころの傷

なのに

癒せないのは判っているよ
それでも
あなたの存在に
すねてしまう。わたしがいて

春はすぐそこまでやって来たのに
今しばらくは
北の風に吹かれていたい

満たされようも無い物足りなさと
刹那さと
「だぁれだ?」
そんなあなたの優しさに
「ごめんね」だなんて
両掌で包んだカップにつぶやく


自由詩 だぁれだ? Copyright 恋月 ぴの 2007-03-07 21:58:47
notebook Home