歌声の消えた海
あおば

              2005/06/07



袋小路共依存というタイトルで
なにか書けないかと思案していると
「歌声の消えた海」
という新作ドラマの
タイトルバックが写り込む
自転車で海へ行く主人公の
爽やかな笑顔が流れてゆく。

袋小路に追いつめられた
わたしの現在完了進行形には
歌声はおろか音符もない
手にしている
薄汚れた紙には
解読不良につき
廃棄
と記されていて
責任者の認め印が何カ所か押してある
これが夢ならばいいのにと思うのですが
夢ではなくて現実なのです。

歌声の聞こえる海は魅力的で
たとえ命を取られることになっても
構わない。

そうなのです
海には歌声
ほたるには川のせせらぎ
褐色の無人の荒野のような歌のない海には
風も吹かないで欲しいと切に願う。




自由詩 歌声の消えた海 Copyright あおば 2007-03-07 21:52:34
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