砂漠と頭蓋
智鶴
とある砂漠に
突き刺した旗の下で
頭上の光点を避けていた
そこら上に転がっている
何かの動物の頭蓋が
何も言わずに私を見つめていた
砂の匂いを孕んだ風に
私は何を載せればいいのだろう
砂漠に染み渡るほど
涙を流してしまったというのに
まだ私から何を奪う?
僅かにも湿気など帯びていない風と
同じく乾燥しきった砂
地平線に投げかけた何時かの願いは
それらに染み込んで
影すら映らない
やがて冷え切った夜が来るだろう
乾いた世界と一緒に私を
闇へと包み隠してしまうだろう
そして夜が明けたとき
地平に立っているのは
願いを受けきれなかった私の頭蓋と
長く影を残す旗だけだ