開花
海月
夜風が音を立てずに私の髪の間をすり抜けた
それは君が私の髪に触れた時の感じに似ていた
闇に姿を合わす木々達が音を立てる
自分の呼吸の音を聴けと静寂を消し去る
私の足がアスファルトを潰す度に
独特の温もりと渇いた音が反響し
何処か遠くで形を成す段階を得ずに消えた
優しさなら偽善者に会えば良く
愛ならば人を抱く事で満たされ
死ならば君を失った時に
思い出は心の奥底で圧縮された
君がいない世界で私が生きる理由は?
希望は絶望へと変貌して
「光が在るから闇が生まれる」と誰かは云った
手の平を返した様に私に対して時間は態度を変えた
君がいた時は短い時も君がいなければ長く
残された者は秒針の音を数える
桜の花弁は時が経てば全て散ってしまう
当たり前の事
だけど
それが怖い
幾度も桜の花は咲かすけど同じ物はなく
哀しくもやわらかい風に乗り逝ってしまう
人は何れ花弁の様に散り逝く者でしょう
先に散る君に私は何も出来ず
想像でしか解らない感情を味わい
涙を流して「時が来たら(来るべき時に)」自然に忘れるのを待っている
今年も又、桜の蕾が咲き始めている