開花
海月

夜風が音を立てずに私の髪の間をすり抜けた
それは君が私の髪に触れた時の感じに似ていた

闇に姿を合わす木々達が音を立てる
自分の呼吸の音を聴けと静寂を消し去る

私のヒールがアスファルトを潰す度に
独特の温もりと渇いた音が反響し
何処か遠くで形を成す段階を得ずに消えた

優しさなら偽善者に会えば良く
愛ならば人を抱く事で満たされ
死ならば君を失った時に
思い出は心の奥底で圧縮された

君がいない世界で私が生きる理由は?

希望は絶望へと変貌して
「光が在るから闇が生まれる」と誰かは云った
手の平を返した様に私に対して時間は態度を変えた
君がいた時は短い時も君がいなければ長く
残された者は秒針の音を数える

桜の花弁は時が経てば全て散ってしまう
当たり前の事
だけど
それが怖い
幾度も桜の花は咲かすけど同じ物はなく
哀しくもやわらかい風に乗り逝ってしまう

人は何れ花弁の様に散り逝く者でしょう
先に散る君に私は何も出来ず
想像でしか解らない感情を味わい
涙を流して「時が来たら(来るべき時に)」自然に忘れるのを待っている

今年も又、桜の蕾が咲き始めている


自由詩 開花 Copyright 海月 2007-03-07 00:33:36
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