僕の好きな幻聴
はじめ
幻聴は悪魔の囁きだ
甘ったるい言葉は声を変えて語りかけているだけだ
囁きは夢に影響を及ぼす
絶望的な破壊的な類のものを見させる
僕の心はぐちゃぐちゃになり魂は砕け散りそうになる
悪魔は僕がはっ、と飛び起きるのを見て大笑いする
「眠るのが苦しいねヘッヘッヘ」といった風に
どうして悪魔が憑いてしまったのか分からない
僕の行いが悪かったからであろうか
睡魔とは訳が違う
きっと精神が弱いからだろう
悪魔はそういう人間に取り憑きやすい
幻聴は何時襲ってくるか分からない
聞こえる時にはいつも嫌な気配を感じる
悪魔は好きだった人の声を巧みに真似して囁きかけてくる
僕は当然その声を無視する
しかし何も答えないでいると悪魔は執拗にだんだんと言葉数を増やしていき
大量に罵倒雑言を浴びせかけて混乱させる
意識が遠くなりながらも落ち着こう落ち着こうと必死になる
悪魔は本性を現したらしくもはや無機質な声になっている
世界中のありとあらゆる物音が悪魔の声になって聞こえてくる
衣服の擦れる音 髪の毛の揺れる音 外の車が通る音など全てだ
僕は横になって目を瞑って祈る
どうか悪魔が消え去ってくれますようにと
どうにかして眠りに就くと幻聴は消えている
しかし悪魔はいつも僕と隣り合わせの関係で生き続けている