*スフィンクスの密輸入*
かおる


飛行機でおよそ13時間強

豪華客船クィーンエリザベス二世号で行くと
どの位費用や時間が掛かるかは知らない

あたしたちの今とは半日遅れのずれがあり
赤道は越えないけれど日付変更線は跨ぐ

こんな時に極東に居るんだなって実感するあたし

日出づる処のあたしから昨日のあなたへなんて
手紙を送ればロマンチックかもね、やんないけど

飛行機代はピンキリで
がんばって見つければ
10万弱で往って帰って来られちゃう

国内旅行より割安感満載かな

グルグル廻る地球儀じゃなくて
平面の世界地図で見ると
所謂ひとつの美しい国は紙のほぼ真ん中に位置して
右側に額縁のような大陸の
青森県八戸とほぼ同じ緯度に存在する

決して眠らない街、衆愚の町、ビッグアップル
丘の島のド真ん中、摩天楼の緑の憩いの場の
東側中央に鎮座する美術館に所有されている
スフィンクスに岡惚れのあたし

保護する為にエジプトにあった神殿が
そっくりそのまま移築、展示されているが
ギザの大スフィンクスはまだない

クリスマス時期には
教会のファサード前に
大きな樅の樹が飾られうきうき陽気な気分で
怪盗ルパンかキャッツアイに変身

ちょいと失敬したいスフィンクス
(実はあたしのハートに密輸入済み)

印象派へと至る大回廊の一画で
朝は四本足
昼は二本足
夜は三本足
と声高に
オイディプスに問いただしている凛々しいお姿

手に触れるものも目に見えるものを信じずに
己の内面に問いかけると
まるで男女間の火花が見えるような一枚が出現するらしい

あたしのスフィンクスは絶対見るべき傑作である


自由詩 *スフィンクスの密輸入* Copyright かおる 2007-03-06 07:29:06
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