贖罪
智鶴

確か、そう
夏の寝苦しい夜だった
湿度に負けた星達を見上げながら
ある種の期待をした

瞬きなど、とうに忘れてしまったのだろう
湿気たような星が
無表情のまま夜空に貼り付いている
切れ切れに浮かぶ雲は
それを隠しているかのようで


その下では
まだ私は、貴方を


ちょうどこんな夜だった
切ない貴方の背中を
きつく抱き締めてしまいたかった
涙を拭って
髪を撫でて
貴方を抱き締めてしまいたかった

例えそれが罪であろうが
悪であろうが
貴方を
あの時愛することが出来たなら

他の誰でもない
貴方を


自由詩 贖罪 Copyright 智鶴 2007-03-05 21:42:35
notebook Home