春おんな
yangjah

桜の木の枝に
桃色の気配が
漂いはじめる

艶かしさ

清らかさ

境目を
見せない
おんなの粋を
桜の妖精は
知っている

春の気配と
雨の後の湿り気の中で

どんな人からの賞賛よりも
「なにやってるんかよーわからんけど
 とにかくよーがんばってるな」と
父がぼそっとつぶやいてくれたら
それでいい
今世生きている間に

誰かのおんなであって
誰かのむすめであって
いつかは誰かのははに
なるかもしれない
そして死ぬまで
何者でもないおんなでありつづけて


一雨一雨春にちかづいてゆく


自由詩 春おんな Copyright yangjah 2007-03-05 17:52:01
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