蜥蜴
さき


緑色の手足に
金属の目玉
アナタを愛すると薄っぺらに誓うのは
この長い
長い

熱い
むしむし
むし熱い
アナタの寝顔を舐めて
溶かす



私を呼ぶ声がする
常にいつでも
絶え間なく
途切れたと思えば
かぶさる様に
小さく
甲高く
私を呼んでいる
夜になったら
聞こえてくる
無数のアナタ
「美味しく食べてやろうか」
「それとも食べられてやろうか」



夜の熱が
私の凍えたカラダを液体にする
束の間
私を潤していく
この緑色の手足、素敵でしょう
やわらかいお腹、撫でてみたいでしょう
アナタが私の前で人差し指を回すのならば
いつでも寝てあげる
だけど
たやすく人のものになるようで
誰のものにもならないの
そんな心は
このカラダにはない



アナタを愛するわ
今夜はとても
お腹がすくの
骨の髄まで美味しいはずね
私の銀色の瞳を見て
そして最後は名を呼んで
嘘で良いから
アナタは私の本当を
知るふりをして



嗚呼
大きくて
細長い
硬い木の葉を寝床にして
私は私を呼ぶような声に身を任せている
この夜は
こんなに熱くて
熱くて
熱くてたまらないのに
私のカラダはどうして
いつまでも
一人ではいられないほど
冷たいの









自由詩 蜥蜴 Copyright さき 2007-03-04 20:43:17
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