こんちゅう記
ミゼット

飴色の線が蜘蛛を伝って降りてくる
壁の染みは手を広げた形
翅みたい、

ぺらぺらのセロファンで
赤かったり緑だったり部屋を照らして遊ぶ
水葬には多分、オレンジが一番似合うと思うの

心臓の音を聞いて
おかしな風になったら呼んで

凍傷が治って
もう手を(あなたの)必要としなく(?)なった
爪を伸ばしてさようならをする(痛いでしょう。ばいばい)

空白を埋めてしまうと窮屈で
息をするのをいつか忘れて
取り除いたら散漫で
泣いて埋めてみようとしたけれど大きすぎて出来なかった

きみどり色のスカートが届いて
私は赤や黒をなくしていって
だからだから
こんなにも整然と混乱しています

「か」から始まる感情を
暖めすぎて眺めすぎて
とうとう眠るのを忘れてしまった

十五匹の昆虫を捕まえて
名前をつけたって歌みたいに。


自由詩 こんちゅう記 Copyright ミゼット 2007-03-04 14:19:19
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