薄紅桜
三架月 眞名子

今咲く桜
ま白な桜を
あなたは一人眺めているのでしょう
私の寄りかかりし幹に手を当て
お慕い下さっているのかしら
ならば私は幸せな罪人

そんな私に
もうひとつだけ我儘を
許してくださるのならば

あくる年のこの季節まで
どうか私をお忘れにならずに
そしてあの桜の下へいらして
一人でいらしてください
その頃には
私の身体から溢れるあなたへの想いで
白き桜を薄紅に

そして二度とあなたから離れないように
離されないように
これから幾年幾千歳
桜が色を失くさぬように
あの木の元で夢に沈みます


嗚呼
なんという贅沢
この上なき幸せ
この世でもっとも恵まれた眠り姫



そう

私の願いはずっとずっとただひとつ・・・



自由詩 薄紅桜 Copyright 三架月 眞名子 2007-03-03 00:43:17
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