松本 卓也

言葉の全てが通り過ぎていく

幾百の思いを込めてみたとして
その全てが届かないように

分かるかい?
ベランダで見上げた空には
星が一つも見えないんだ

光など降って来やしない
例年より温かいはずの風さえ
胸の空虚を通り過ぎる頃には
温もりを無くしている

ただ分って欲しかったのかもしれない
ただ聞いて欲しかったのかもしれない

無二だからこそぶつけた言葉がある
僕が思うより君は強くはなかったのか
君が思うより僕は優しくなかったのか

傷つけたと言う思いだけが
見上げた電線に引っかかって

寂しそうに鳴くカラス
無機質に通り過ぎる電車
雲の端から月は輝き
雫が頬に零れ落つ


自由詩Copyright 松本 卓也 2007-03-02 23:21:06
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