消える
サナギ

眠りながら歩きながら墓標を背負って歩いていると
ぼんやりしたまぶたにぴしぴし当たるものがある

目を開けると
細かい氷かガラスに似たものが降っている
冷たくはないが地面に落ちるとやがて消える
歩くと
落ちたそれらをぱりぱり踏む感触がある

それらはきらきらしながら
顔にぴしぴし当たりながら
落ちて
消える

俺はそんなもの踏みたくないのに踏んじまう
軽い子どもの足ならそうでもないだろうが
俺は重いし
さらに背負うものも重い
歩けばいかんせんぐい、と踏みつける
ぱり、というより
ばり、とそれらは砕ける

俺の踏み出す一歩一歩で
落ちたそれらは砕けて消える

それらが何で
どこから降ってくるのか分からない
俺が何者で
どこへ行くのかも分からない

ただ俺の踏み出す一歩一歩で
砕けて消えるものがある

なんかやりきれねえなあと思うが
降ってくるそれらも
俺の足も

多分何とも思っちゃいないだろう



自由詩 消える Copyright サナギ 2007-03-02 15:24:18
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