「積み木」（１）　　　


積み木積んで積んだ高さに驚いて
積み木積めば積むほど寂しくて

（きっかけなんてゆうものは
　ほんのささいなものだから
　一番下のどれか一個引き抜けば
　簡単に崩れてしまうもの）


積み木また積んで積みなおし
積み木また積めば積んだ分だけ

道をつくろう
橋をかけよう

崩れないようにしながら
一個一個確かめて


みんなのところへ
行こう
みんなのところへ



「積み木」（２）


いろんなかたち
いろんな色の

積み木
積んで世界をつくったら
一個あまってしまったよ

それはとってもまんまるで
どこに積んでも転がって

置いては乗せて
置いては乗せて
すっかり傷だらけ

だから囲ってあげました
まるい積み木は笑っています

やっとみんな揃ったね

気づくまでに
いっぱい時間がかかったね



「積み木」（３）


ばらばらになった僕をかたずけようと
僕と同じ大きさの箱に収めようとしたのに

うまく収まらなくて
不思議に思いましたが
当たり前です

思い出の分だけ
箱からはみだしてしまいます



「積み木」（４）


「あなたの気持ちを確かめたいの」と
　君は積み木を差し出した

　僕は頑張って積むのだけど
　どうしても崩れてしまって

　これは困ったなぁ

　苦し紛れに
　変に角ばった
　ハート型にならべたら

　君はほっくり微笑んで
「あなたにしては上出来ね」って
　
　ハートに矢をさしてくれた



「積み木」（５）


（２０１３年）
とうとう人類は、人工知能搭載自己完成型積み木を開発した。
それは、買った人がイメージしたかたちに積み木が自動的に積まれるという画期的な積み木であった。
そのため人は、「積み木を積む」という作業を行わなくてすみ、想像に集中できるため、芸術的思考力が格段に飛躍した。

（２０１４年）
クレーム発生
人工知能搭載自己完成型積み木<model 185934>で遊んでいた、拓人君４歳が、暴走した積み木にはさまれて重症。

緊急事態発生
人工知能搭載自己完成型積み木<model ZF3965改　試作用>が暴走、まわりの人間を次々に積み始め、人を積み木に取り込み始めた。



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（完）