鏡像
ひめと


ああ、痛いなあ、と笑い泣きでつぶやいたとき
いちばんに、割れるのは鏡で
これが水面だったら割れないで済むのに、と
あかいものを見て

にぶい光はいたみとやすらぎをもたらして

ああ、どうして、
わたしは、
笑ってるの?

ほんとうはなきたいんでしょう、と
わたしのこころが云うけど

鏡像のわたしが

ぜんぶがぜんぶ、
この世界はうつくしくなんかなくて
ゆがんで見えるのはきっと、
水面にうつったせかいだから

せかいが割れないのは
水面にうつったせかいだから

こころが割れるのは
揺らげない鏡だから

いたいの


未詩・独白 鏡像 Copyright ひめと 2007-02-28 21:25:04
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