鏡像
ひめと
ああ、痛いなあ、と笑い泣きでつぶやいたとき
いちばんに、割れるのは鏡で
これが水面だったら割れないで済むのに、と
あかいものを見て
にぶい光はいたみとやすらぎをもたらして
ああ、どうして、
わたしは、
笑ってるの?
ほんとうはなきたいんでしょう、と
わたしのこころが云うけど
鏡像のわたしが
ぜんぶがぜんぶ、
この世界はうつくしくなんかなくて
ゆがんで見えるのはきっと、
水面にうつったせかいだから
せかいが割れないのは
水面にうつったせかいだから
こころが割れるのは
揺らげない鏡だから
いたいの