I Know-君すらしらない君と僕-
まきび

鞄を腕の下に滑り込ませ
たましいを守っている
誰にも触れさせないぞと
柔らかい心を守っている

歯向かうには小さい手
笑うのには邪魔な鼻
あの子のようには戦えない
君のようには笑えない

自ら光らない暗闇が
どこからか漏れてくる
隠したくてしょうがない
つまづいた足跡 白く

本を頭の上に乗せて
夢をまもってきた
誰にも奪わせないぞと
庭の影からまもってきた

塀を乗り越えるのには足らない背
カラスを見逃すには大きな目
あなたのようには逃げられない
おまえのようには生きられない

死んだ人の灰が
庭先に鋭く積もっていく
逃げたくてしょうがない
うめたはずの人 僕

知っている
何を着ていても
着ていなくても
今の君ではなく
あの頃の君

守りたがっている
逃げたがっている
苦しい 悲しい
死 生 死 生
せめぎあい
白く 僕を貶める

大人になった僕から君へ
I Know...





2007/2/28
1:26



自由詩 I Know-君すらしらない君と僕- Copyright まきび 2007-02-28 01:34:12
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