柔らかな気持ち
なかがわひろか
ねえ手を繋ぎませんこと
恥ずかしいのは私も同じ
否、と御即答されるのは
判っているけれど
はあっと息を吹き掛け
一瞬の合間に空気が
冷やされ地面に落ちて行く
まるで貴方の跡を記すように
然れど存じております
人知れず歩調が重ならんとしていることを
連弾のように小路を踏みつける
ア・テンポのリズムを
冷たくなって感覚を失いましたが
私の右手に貴方の温もりが伝っていることを
私は知っているのです
その温もりに
素っ気無い貴方の
本音を知るのです
(「柔らかな気持ち」)