ため息
湾鶴


タンポポの茎をつまむような 
頼りない感触で押し出されてゆく空気
うけたまわっております おはよ いる? ブッ
ええ、 えぇ、 メール いた きた みた
おやすみ グットナイト グンナイ グナイ
 
落ち着く先も、行く先も見えない
マンホール草原へと
吸い込まれてゆくため息は 
なんらかのワケあって
ゆううつに吐き出され
毎日ちがうテイストと背景をふくみ映す

一定の音域で大量生産された 
ため息は
タンポポの茎で作った笛を
ヴゥーヴゥー鳴すと 
くちびるに感じる
ミルキーな にがい茎から生えている

落ち着く先をさがして
アスファルトを這い回る
ため息は
ぽん ぽん と咲きほこり
気がつけば一面に広がる
タンポポのように根深く繁殖してゆく




自由詩 ため息 Copyright 湾鶴 2007-02-27 01:03:55
notebook Home