バンドネオン
プテラノドン

 工場群のライトが、夜霧に色を与えていた。
ぼくらを前に進ませたのは無意味な赤信号。
あるいは冬の固い道路の上で、軽自動車に
箱詰めで向かった、廃墟となった工場の屋上から
貯水タンクの上から見ていた、真冬の夜景は
沈黙を発する利根川に沿って流れていた。
そして同じように、貯水タンクをぶちまけて流れる
ぼくらの笑い声は、その余韻は、
ブルースに立ち現れるバラードだった。
 ぼくらはマイクスタンドの前で
肩をすくめるように、打ち明かさずに
ほとんどの優しさに気づいていた。


自由詩 バンドネオン Copyright プテラノドン 2007-02-25 01:21:14
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