蝶々の影が白い壁の中を飛ぶ
プル式

寒いさむいと閉ざした扉
どうやら外がぽかぽかと
暖かくなって来た様で
窓辺に小さな陽炎が昇りました。

長いあいだ閉じていた窓を、少し開け
つくしや蝶々や
たんぽぽなんかが咲いているかしらん、と
外套も羽織らずに外にでると
びいゅう、と風が吹きつけました
雲の切れ間から静かに
太陽の背中が見えた気がしましたが
それは神様の気まぐれだったのでしょうか
だとするとそれは
とても罪深い気がしてなりません
暖かいと思っていた心は不意をつかれて
凍るように固まってしまったからです。

身を切る様な寒さに震えながら部屋に戻ると
あちらもこちらも隅々まで冷えて
もう一度窓を閉ざしては見ましたが
もう暖かくはありませんでした。


自由詩 蝶々の影が白い壁の中を飛ぶ Copyright プル式 2007-02-25 00:22:25
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恋の歌