ラスト・スノー
Rin K


てのひらに乗った 雪が
溶け出して、僕の
一部になってゆく
降り始めに気がついたのが
どちらだったか
もう忘れてしまった

雪は
これで最後かもしれない、と
最初に言ったのは君のほう
どこかしらほのかに色づいていて
雪、ほどには白くない空を
ふたりで見上げた

君の瞳に映せる空の分量も
僕の瞳に映せる空の分量も
きっと、同じくらいに
少ない
視界で切り取った
狭いカンバスを 僕らは
互いの色で塗りつぶすことを
許しあえないまま
たがいの色で 
軌跡だけを、残した

降り始めに気づいたのは
どちらだっただろう
春、に近づいて
わずかに重くなった雪が 乱した
水面のように、すこし
震えたのは
僕がさきだった

てのひらに乗った 雪が
溶け出して、僕の
一部になってゆく
冬を追いかけていった北風も
最後の雪と どこか
同じ色をしていた



自由詩 ラスト・スノー Copyright Rin K 2007-02-24 21:44:45縦
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