スペシャルディズ
山崎 風雅

 すべてが無に帰ろうと一方通行している
 俺は震えて世界の端にぶら下がっている
 
 いつか見た
 そして凍えた思い出は
 風に乗って北から流れてくる
 自分であり続けることの難しさを
 教えてくれる北風は俺のレンズに霧を落とす

 すんなりと言えない
 考えなくてはいけないことは温暖化
 しかし俺には傘がない
 雨が降れば泣くしかない
 ありふれた退屈は煙になって空に消えていく

 平凡でありたい
 皆から愛されたい
 そんな無謀な妄想は俺を檻に閉じ込めるから
 独りの時をかみしめて
 愛しき昔の恋人の旅路に幸あれと祈るばかり

 幼き頃は世界は恐怖のジャングルジムだった
 今でも俺を苦しめるトラウマ
 いくら片付けても散かっていく部屋の様子は
 俺の脳髄を象徴してる
 誰かたすけてくれよう

 と、言ったところで喉が乾けば自分で立たなきゃ
 いい人ねとは言われるし
 すぐに電話かけられる友達は22人いるんだ
 それでも乾いた心に恵みの雨は降らない
 すぐにでも命の炎が消えるような不安

 いずれこの夜の意味を知る朝も来るだろう
 優しい春には酒のみながら花見をして
 燃える夏には海で泳いで
 いずれ塵のようになってこの世を去るまで
 毎日が特別の日の連続



自由詩 スペシャルディズ Copyright 山崎 風雅 2007-02-24 02:56:15
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