生人
石田 圭太
こころを動かしたいとき
いちばん大きな目で見つめると
願いを叶えてくれた。
僕らの先生は
車椅子の中で目を覚ますと
もう笑顔になっていた
なにかの手に引かれながら
鼻をつまんで
ひどく美しいものに耐えている
ごめんと謝って
僕らはやわらかい角を曲がると
もう笑顔になっていた
すこしおとなになれた
つかれたら
からだじゅうで
伸びをしたらいい
草原を転がりまわることは
忘れなくてもよかった
見下ろすと
おふくろさんのような土地が
僕らを布団のように着ていた
わあ と歓声が広がると
あたらしい空で
僕らはもう笑顔になっていた