すいせい
水在らあらあ




テキーラと
ラムとウォッカと
ウイスキー
心が痛いよ
いや心臓か

安ワイン
愛想が尽きて
シャンパンを
毎日飲んだら
友達が増え

本当に
人魚が見えるぜ
午前四時
グラスのふちで
胸は隠して

もうすぐだ
陸についたら
おまえたち
酒と女と
それから酒だ

そうですか
ああそうですか
だけどもう
漕ぐのはいいや
雨降ってるし

酒がない
鮭もないけど
酒がない
それが何かの
救いみたいに

ウォッカを
あんまり飲んだら
いけないよ
ヨガのポーズで
目が覚めるから

体中
ペンキで真っ赤
真夜中に
絶叫しながら
街走るから

大好きな
大切な人
泣かせたり
ペンキでパジャマ
塗ったりするから

おまわりさん
はい もう家に
帰ります
やりすぎました
小便をかけ

パスポート
家宅捜査も
していいよ
勝手にしなよ
なんか悪いの

中指が
その中指が
悪いんだ
おまえ日本に
帰ってどうする

どうにもね
なるかどうかは
おまわりの
あんたは知らない
銃しまってよ

日本には
大好きな人が
いたりして
そんなの銃で
聞いてどうする

静寂は
この静寂は
音楽と
人の会話と
犬の遠吠

静寂が
降り積もったら
世を捨てて
遠く歩いて
行けばいいのに

ウイスキー
あんまり飲んだら
いけないね
おまえを残して
沈んでゆくから

飛び出して
階段転ぶ
血が流れ
おまえははだしで
追いかけてくる

立てないや
でも立たなくちゃ
立てないや
痛いよ痛い
傷を蹴るなよ

アスファルト
公園の前
砂利噛んで
なああの時を
覚えているか

この公園
小さな池に
住むかえる
名前をつけて
パンをあげてた

金色の
髪を燃やして
街灯に
蛾が死んでいる
おまえの胸に

冬の海
ついてくんなよ
これからさ
ここから俺は
旅に出るから

ほんとうに
ついてくんなよ
平気だよ
俺は海には
愛されてるから

月が切り
風が突き刺す
血が凍る
そいつは真っ赤な
死別のルビー

カムバック
カムバックだって
よくゆうぜ
ほら心臓が
もういいからって

カムバック
カムバックって
さけんでる
おまえは服を
脱ぎ捨てている

無理なんだ
やめなよそんな
冷たいよ
おまえは海に
呪われてない

じゃあ帰る
もう帰るから
でも靴が
砂をつかんで
沈みたがって

ああ沈む
ほんとに沈むよ
なんだかさ
楽しかったよ
大好きだった

凍える血
波に押されて
打ち上げる
塩水を吐く
カモメの死骸

結局さ
俺が悪いね
抱き合って
ぶるぶる震える
オリオンの下

目が覚めて
酒がないけど
なくていい
シャワーで髪の
海藻を取る

食べられる
きっとこいつは
食べられる
この海藻は
味噌汁にする

なんだこりゃ
ひざっこぞうが
さされてる
ものすごい黒
真夜中の海

痣だらけ
そんなに俺は
ああそうか
転んだかもね
ひどいもんだね

ちっくしょう
ちっくしょうって
いうんだよ
だってさあ俺
情けないから

いないのに
おまえだけしか
いないのに
出会った奇跡に
まだ気づかずに




夕焼けの
海は無限の
虹みたい
おまえは遠くで
砂を蹴ってる












自由詩 すいせい Copyright 水在らあらあ 2007-02-23 09:35:22
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