鳥の唄
佐野権太

鳥は
自由に羽ばたく姿こそ美しい
私如きが
その軽やかなくるぶしに絡みついて
ともに堕ちてはならない
いつか
大きな空になりたい
そんな、さよなら


相反する不確かな期待は
落日に置き去られた藍の淡雲
飛びたかったのは
私のほうだったのかもしれない


鳥籠を見つけると
つい、面影を探してしまう
どこかの止まり木で
首を傾げて探すメロディは
私の知らない、あるいは


なつかしい声を
聴かせて
弾けるように
笑って
急に
遠い目をして
あの空を歩いていたかったと
ただひとこと
上手くだまして


自由詩 鳥の唄 Copyright 佐野権太 2007-02-23 08:14:00
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