照明を買いに行かないと
雨露 流

電気が切れそうだ 
照明がちかちかと瞬いている
ディスプレイとテレビは光っている 携帯電話も
照明だけは光を失いそうだ

暗い 

陽が沈んでいく 窓の外が暗くなっていく
部屋の中はちらちらと瞬いている
スイッチを切らなきゃ 目が悪くなってしまう
ディスプレイにテレビは光を発してる
僕は布団に包まりながら それを見つめてる


テレビは流れているまま 内容が分からない
ディスプレイにはたくさんの文字列 僕は読みふける


遠い 何もかもが 遠い 距離を無視して届く情報


携帯電話が鳴った 短い着信音 メールが届いたようだ
僕は返信する内容を考える


ディスプレイに映る文字列 リンクを辿るたびに一瞬で変わっていく
テレビに目を向けるとCMが流れてる 何もしなくても垂れ流されてる


陽が完全に落ちたようだ 外は真っ暗だ
二つ いや 三つだけ 部屋の中で光を放っている



部屋全体を照らす光はない


目が悪くなってしまう 視野が狭まってしまう
外に出なくちゃ 外に出なくちゃ 世界が収束していくようで――







ディスプレイを見つめる 距離を無視して情報が届く

世界情勢 経済 政治 スポーツ etc...etc...
ゲーム アニメ 小説 漫画 詩 etc...etc...

ニュースも娯楽も何もかも リンクを辿れば テレビを付ければ

日本語 中国語 ハングル 英語 ドイツ語 ロシア語 etc...etc...

言語さえも超えて 世界中の情報を 世界中の風景を
知ることができる 感じられる 理解できる





照明がちらちらと瞬く 目が悪くなってしまう



早く外にでないと 照明を買いに行かなくちゃ




そしたらまた――




自由詩 照明を買いに行かないと Copyright 雨露 流 2007-02-23 03:22:48
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