「おしえてマンボウ」 (青年詩片)
ベンジャミン



海はこんなに広いのに
もう何でも知っているような顔をしてる

マンボウ
君はいつもゆっくり泳いでいて
ぼーっとしているようでも
その瞳はやさしい

君のように泳げたらと
ときどき君の口のかたちをまねてみる
けれど上手に息をすることさえできないよ

マンボウ
ぼーっとする時間はとても大切で
それがやさしさをたもつ秘訣だと
君の瞳が言ってるようだから

僕もそんな時間をつくろうと
ときおり縦長の身体を折りたたんでみる
だけどただ何かに押しつぶされそうなだけだよ


マンボウ
君が怒ったところを知らない
(僕にもやさしさは残っているよね)

マンボウ
君はどうやってゆっくり泳いでるのだろう
(僕はいつも一生懸命なだけだよ)

マンボウ
君は海がどれほどの深さか知っているかい
(僕はいつだって怖くておびえているから)

マンボウ
君のやさしい瞳に君は気づいているのかい
(僕はときおり自分を見失いそうだよ)

マンボウ

マンボウ

おしえてマンボウ

(僕の瞳はやさしいですか?)

マンボウ

マンボウ

(僕は上手に笑えていますか?)

マンボウ

マンボウ


僕の手のひらには水かきもないけれど
そんな小さなことに悩んでちゃいけないね


   

     


自由詩 「おしえてマンボウ」 (青年詩片) Copyright ベンジャミン 2007-02-22 13:37:25
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