迷信
たもつ

上司のお母さんが亡くなったので
お通夜に行くことになった
周りの人の香典をいくつか預かり
初めての列車に乗った

これから何度乗る機会があるのだろう
列車は住宅街を抜けるように走った
民家の庭先や
木造アパートの小さな灯りをかすめながら

斎場はお焼香の良い匂いがした
上司のお母さんは穏やかに微笑む
一枚の写真だった
子供一同と書かれた花輪
来年退職する上司もその中におさまってる
いつまでも子供として

外に広がる闇は
やがて明日へと引き継がれていく
という迷信を最初に考えた人は
きっと心の優しい人だ
二回目の列車に乗って帰った


自由詩 迷信 Copyright たもつ 2007-02-21 15:57:34
notebook Home 戻る