白い桜
なかがわひろか

やっと寒くなった朝に
雪は降った

お前はじっと降り落ちる白を見つめる

白い雪

お前の目の前を通り過ぎていく

外に出たいとお前が言う

長いまつげに雪が降り積もり
そしてじわっととけていく

お前は笑う

お前は笑った

本当は桜を見たかったろう
暖かい陽だまりの中にとけていく
桜を見たかったろう

もしわたしが一時でも神であったならば
指先をほんの少し噛み千切り
白い雪を
赤く染めたのに

今、わたしの目の前を

桃色の桜が

舞い落ちる

(「白い桜」)


自由詩 白い桜 Copyright なかがわひろか 2007-02-21 01:07:12
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