車輪のさき
しゅう
触れたところから崩れていく
もろいビスケットの空
投げた言葉も跳ね返らない
石畳を、転がるように
冬を塗りつぶしながら
配達夫が窓をこじあけていく
のびあがっては、きりきりに締め上げる、空
(白の町/裂け続ける黒/車輪)
少年は、今日も会釈した
跳ね返らない
石畳に、風だけが残る
傾いた日差し
と、軋む金属音に
ほの暗い轍を沿えて
それでも春と、空
ただ、追いかけるしかできない
息が錆付いて
霜解けのサドルに
さくらが、赤銅をこぼし始めている
自由詩
車輪のさき
Copyright
しゅう
2007-02-20 19:07:18