空洞
はじめ
君を抱き締めて眠りたい
僕は君のいない空洞を抱えて横になってる
なんだか本当に君を抱いているようでとっても気持ちがいい
君の膨よかな胸元が深い空洞を埋める
君の口元からいい香りが漂ってきている
僕は思わずキスしたいぐらいだ
僕は君の胸元に顔を埋めた
君は笑って僕のおでこに優しくキスをし頬摺りをし僕と唇を合わせた
僕は幸せな気分だ
僕達は笑って互いのおでこを合わせた
君のおでこは暖かい
僕のおでこはひんやりとしている
僕は両腕をきつく締めた
君の身体は暖かい
僕の身体は冷え切っている
愛が欲しい
僕は口づけを求めた
もっとキスを求めた
セーター姿の君の背中に回している腕がバチッと音を立てて静電気を起こした
君は僕の瞳をじっと見つめていた
大きい瞳でじっと見つめていた
もう眠らないといけないのか
それとももう別れなければならないのか
君は僕の背中から両腕をそっと離した
僕は泣きながら頭をぶんぶんと回した
君は顔を横に振り
僕の頭をそっと撫でた
おやすみ
君は僕にそっと言った
そしてすっと消えていなくなった
僕の両腕が抱えているのは空洞だけ
時計の針が規則正しく時間を打っていた