ホワイトクリスマス・イヴ
はじめ

 空から雪が舞い降りてきた
 今日はクリスマス・イヴ
 私は両手を広げ雪を全身に浴びている
 深々と降る雪
 赤いコートは雪で真っ白くなり原色を留めていない
 楽しいことは何も無いけれどこの雪を浴びるのは楽しい
 街には誰もいない
 けど電灯は灯っている
 サンタさんは今日やって来るみたいだけど
 この無人の街を見るとがっかりしちゃうかもな
 私は去年のクリスマスにこの赤いコートをサンタさんから貰った
 街にはある理由があって人がいない
 あなたの国はまだ十二月の上旬だものね
 それだけで世界がこんなにも広いということが分かるはず
 街の人々はみんな氷付けにされて何処かに連れて行かれちゃった
 それは街の人々が雪の女王を怒らせちゃったから
 雪の女王のペットの水色の毛のオオカミを殺しちゃったから
 私が怪我しているオオカミを見つけて看病していたところを
 女王の災いをもたらす使者だと言って捕まえたの
 みんな女王の氷像のコレクションにされちゃった
 女王は私にだけ優しかった
 電灯が消えた
 女王はあなたを許さないところだけど
 あの子に免じて許してあげる
 その代わりにあなたは一生一人で暮らすのよと言われ
 それから生まれて初めての雪に見舞われた
 春になって雪が解け
 新たな生命が息吹いても
 この街には人々は戻らない
 秋になって落ち葉が積もり
 生命達が死んでいっても
 みんなは生き返らない
 雪は深々と降り積もっている
 この街はきっと雪で埋まっていくだろう
 その前に私はこの街を離れなければならない
 クリスマス・イヴの雪


自由詩 ホワイトクリスマス・イヴ Copyright はじめ 2007-02-19 05:27:29
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