思考回路
海月

夕焼けも闇に染まり
少し先の道も見えない
自分の前を歩く人の足音を頼りに歩く
アスファルト特有の硬さに安心した

後ろからは僕を急かす様な声がする
誰かが苛立ちながら僕が歩くその道を歩こうとしている

地雷が埋まっている訳じゃないけど
何かに怯えながら
何かに蝕まれながら
家路までの距離を昇華して行く

電灯の電球が切れかけていて
数秒おきに消えたり点いたりして
幼い子供は泣いてしまうだろう
大人になった僕にはそれに何も感じなかった
鈍感になっていく感情は何を思う?

喜怒哀楽の意味を忘れた心に何を求め
春夏秋冬の季節を忘れた体に何を感じる

日めくりカレンダーみたいに一日を使い捨てる
今日を終えて破る時に小さな予定を見つける
実行出来る訳ないのに約束した自分を責める

黒に染まった心に人の温もりは沁みこまない
君をどんなに強く抱き合ったて
込み上げるのは後悔と気持ち悪さだけ

公衆電話に貼ってあるチラシに電話を掛けて
知らない人と無理に行為をしても
ただ、孤独と馬鹿げた事に苛立つだけ

何の為に生きていて
何の為に自分がいて
何の為に六十億分の一

僕がいなくても明日は何事も無かったかの様にやって来る
静かに夜は明けて朝焼けに僕の歩くべき道が光っていた


自由詩 思考回路 Copyright 海月 2007-02-19 00:53:24
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