lost child
三架月 眞名子

ふわり



帰宅ラッシュの駅のホームで

不意に香るあの人の匂い

名前もしらないあの香水

忘れもしない

アタシの精神安定剤


でも

もう手に入れることはかなわない

だって

世界中を探し回ったって

あの人の代わりは見つかりっこないもの

絶対に


あの温かくて大きな手に

慰めてもらう事は叶わない

頭に優しく乗せられた手に

幾度救われただろう?

いや

回数なんかの問題じゃなくて

その仕草の1つ1つに

確かな優しさが込められていた


迷子の子供に道を教えてくれた人

彼はもう側にいない

案内人とはぐれたアタシ

再び迷路を彷徨う運命?

そんなのあの人は望んでいないだろう

だから

これからは自分の力で道を探さなければならない


もし偶然出会えたらなんて甘い考えは処分して


もう大丈夫

アタシは強くなったよ

少しずつ

でも確実に


自由詩 lost child Copyright 三架月 眞名子 2007-02-17 23:53:17
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