あなたへ贈る詩
さくらほ

早く大きくなりなさいと思ったあの日は
ほんの少し前のよう
あれからなんと早い事だろう
あなたはセーラー服が似合う年になり
頬をほんのりと染め
活き活きと出かけてゆく
あなたの頬には春風が良く似合う

いつもわたしが抱っこしていないと
泣いて泣いて
しかも揺られていないと
ぐずってぐずって
なのであなたのために恥ずかしいけれど
昔懐かしいおんぶ紐を買ったのはついこの前のよう
道であなたと手を繋ごうとすると
「もうやだ」と手を払い
わたしと肩を並べ
美しい髪をなびかせて
颯爽と歩いてゆく
あなたの瞳には空が良く似合う

きっといつかわたしをおいて出て行く
わたしが母を置いて出て行ったように

今更だけどもっとゆっくり育ってほしいと思うよ
もっともっと一緒にいたいよ
思い出すあなたとの日々は
とてもやわらかでふわりとしている
まるで干したてのお布団を目を瞑りぎゅっと抱きしめているよう

いつかあなたを愛する人が迎えに来て
いつかあなたはその人と新しい家族になる
あなたの頬も瞳もその人のものになる
美しく微笑むあなたには
優しい陽だまりが良く似合うだろう

春の陽射しは軽やかにあなたを包みはじけている
そんな今をかけがえのないものとして
心の中で抱きしめる


自由詩 あなたへ贈る詩 Copyright さくらほ 2007-02-17 23:05:48
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