drawing
三架月 眞名子

引用=ヒトはなりたいものになれるんだよ} 


キミが嬉しそうに言った一言を

信じて疑わなかった幼き日のボク

色鉛筆も

クレバスも

水彩絵の具までも持っていたボクたちに

空はキャンパスにするには全然小さくて

もっと大きな余白を求めた

いつか全てを描ききった時

世界はどんな風に色づくのか・・・

難しいことはわからないけれど

漠然とした未来に

溢れんばかりの希望を抱いた



世界は色で溢れていた

世界は色で溢れていた



でも

今はもう描けない

空は急に広さを増した

どんどんと衰えていく画力では

到底埋め尽くすことは出来なくなってしまった

それどころか

もう手の届かない

高い高いところへ



世界はモノクロに

世界はモノクロに



濃淡さえあやふやな

味気ない世界に



いや違う

ボクの方が変わってしまったのだろう

成長するにつれて

あらゆるものが失われてしまった

いや違う

あらゆるものを捨ててきてしまったのではないだろうか



でも

結局はどちらも同じことなのだろう

もうあの空を

手にすることなどないのだから


自由詩 drawing Copyright 三架月 眞名子 2007-02-17 20:20:23
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