品川物語
恋月 ぴの

この季節になれば
川幅いっぱいに押し寄せる銀鱗
浮ぶ屋形船を押し退け
向う岸まで
命をかけ
届けようとするもの
人生の在り様
私の意思
立会川の岸辺には
あなたへ
手渡そうとした手紙
あの銀鱗たちのように
只ひたすら
目指せるちからがあったならと
唇を噛み締めてみる
それは
誰のため
たとえば自らへの慰めなら
笑って許してみよう
立会川に架かる
名も無い橋の上から
揺らめく銀世界
恋の行方は何処まで


自由詩 品川物語 Copyright 恋月 ぴの 2007-02-16 00:07:29
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