ダンボール詩
太郎冠者
「どうしようもなく寂しい時は青という字を書くのです」
寺山修司が言ったように
御堂筋の鉄路に青という字を書くのです
青! 青! 青! 青! 青! 青!
青! 青! 青! 青! 青! 青!
一九八九年六月二日
屑の
エクリチュールはそう
俺たちを喜ばせた
公園の片隅に
プレイボーイを
見つけては
カッとして
濡れしょびれた頁が
手荒に
崩れたりして
二〇〇七年二月五日
寺山修司が死んだ
ブルーシートのテント小屋に
ひっかかっているダンボール
かつて時速一〇〇キロで駆け抜けた
足だ
* *
優勝
――――――――――――――― 2
よくやった!!! × ?
おめでとう 20
―――――――――――――――
二〇〇五年十一月五日
団結ソフトボール大会
* *
土で汚れた残骸を拾いあげ
青! という字を書く
想像力は確かに死んだのだ
鉄筋を折るために
俺は擦り切れた文字を探している
ダンボールに向かって
走ろう
詩とは逆の方向へ
屑より遅い
屑の速度で