指先と羽音
田島オスカー


指先を
もてあそぶのが好きか
聞けば そんな事は無いわ、と
君はいつも苦く笑いながら 応えましたね


最近ね、よく、虫になった夢を見るの、
虫よ、羽の生えた、音を鳴らして飛ぶ、虫。

でもね、指先はこのままで、
身体の他の部分は何も見えないんだけれど、
でも指先はこのままで、
少し低いところを飛ぼうとすると、
土にうずまりそうになるの、虫なのに、飛んでいるのに、よ?

その感覚、その感覚が怖くて、
私、とてもではないけれど指を、
だからなの、わかって。


今でも低空飛行をする虫を見ると
どうしても手をつなごうとしなかった
君を 思い出しますよ

 


自由詩 指先と羽音 Copyright 田島オスカー 2004-04-14 02:01:39
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