椿
フユキヱリカ




ほころぶつぼみは
握りこぶしを揺らす
乳飲み子の
すこしひらいた
くちびるのように
まあるい頬のように

まだ寒々とそらが暗く
いよいよ産まれる朝、
あなた
病室にとんで来て
小振りのひと枝
窓辺に飾ってくれた


椿、
ひらいた花びら
あかく
あかく
わらう


しっかりと腕に
あの子を抱いて
ねえ
お見舞いに椿は
持ってこないのよというと

君に見せたかったと
あまりにすまなさそうに
肩を落としてしまったから
葉を一枚
くちびるにあて
そっと吹きました


椿、
ぽつり、と落ちて


携帯写真+詩 椿 Copyright フユキヱリカ 2007-02-12 01:31:01
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